みんなの医療・介護 NIC健康セミナー2024 (特集)
- ke-yamamoto
- 3月19日
- 読了時間: 6分
医療の専門家を講師に招き、健康づくりについて学ぶ「みんなの医療・介護 NIC健康セミナー」(NIC新潟日報販売店グループ主催)が2024年度、県内7医療圏のうち4医療圏の会場で開かれました(南魚沼市は台風のため中止)。新潟日報社が取り組む「目指せ‼健康寿命日本一。にいがたプロジェクト」の一環。地域医療の将来展望のほか、心臓病や大腸がん、糖尿病といった疾病予防の説明に参加者は耳を傾け、健康増進のヒントを探りました。(肩書は開催時)
「強い骨」の維持が重要
小千谷市

小千谷市の小千谷総合病院では、同病院の柳雅彦院長、新潟大学大学院の古賀寛特任准教授、同大学大学院の小幡裕明特任准教授らが登壇。約80人が地域医療の現状や骨粗しょう症、心臓病などについて学びました。
「骨折クライシス! フレイル・ロコモを知っていつまでも元気に」と題し、骨粗しょう症の予防について語りました。介護を受ける理由として「関節疾患」「骨折・転倒」の運動機能の障害が多数を占めていると指摘。命に関わる大腿骨頸部骨折予防のため「まずは検診を受けてほしい」と述べ、「弱くなった骨を強くするより、強い骨を維持する方がずっと簡単」と強調しました。
一方、小幡特任准教授は、「血液を循環させるポンプの働き方が悪いと心不全が起こる」と心臓病のメカニズムを紹介。疲労感や足のむくみなどを伴う「臓器うっ血」、息切れや動悸が起こる「臓器低灌流」を説明しました。
生活習慣病から心臓病に至る病気の「ドミノ倒し」についても解説。モデルケースを挙げながら、「心筋梗塞後5年で30%が心不全を発症するが、運動など適切な予防で防げる」と呼び掛けました。
糖尿病への偏見解消を
五泉市

五泉市の市立図書館では、五泉中央病院の髙橋姿院長、同病院内分泌・代謝内科の山田絢子医師らが登壇。約70人の参加者を前に、地域医療の役割や、糖尿病に対するスティグマ(偏見や差別)の解消などについて語りました。
髙橋院長は、全ての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」や医師、看護師不足など地域医療の課題を挙げ、「住民の健康を維持するのは医師だけの仕事ではない。皆さん自身が気付き、実践しないと健康寿命は延びない」と呼び掛けました。
その上で、病気の治療や救命を行う「医療モデル」とQOL(生活の質)向上を図る「生活モデル」を組み合わせながら、住民の健康を守っていく地域医療の役割を説明。「退院する患者さんを介護、福祉へつなげることが大切」と力を込めました。
また、山田医師は、「糖尿病は不摂生な人がなる病気」「糖尿病は治らず、長生きできない」という誤った認識があると指摘。尿など否定的なイメージが持つ名称の変更や正しい知識を発信することで、「負の烙印と決別できる」と訴えました。
「糖尿病の人は治療のために生きているわけではない。よりよく生きるために治療を行っている」と山田医師。「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を8%未満にする」など前向きな目標を設定し、成功体験を積み重ねることが、患者の行動変容につながると強調しました。
生活習慣変え疾病防ぐ
加茂市

加茂市の加茂病院では、同病院の富所隆院長、須田医院(田上町)の須田剛院長らが講演。約60人の参加者は、健康寿命を延ばすヒントや脳卒中予防などについて知識を深めました。
富所院長は、「国内の病院に入院する患者の約8割が65歳以上の高齢者である」と指摘。入院理由として、肺炎や心疾患、脳血管、骨折など高齢者に多く見られる疾病が上位を占めていることを挙げた上、「がんなど専門的な手術が必要な入院患者は減少する半面、高齢者の医療ニーズは増えていく」と述べました。
「高齢者に多い疾病は生活習慣を改善すれば予防できる。健康な未来のためには、食事、運動、コミュニケーションが大切」と富所院長。健康未来を描くための三つの習慣として、「バランスよく食べ、腹八分目に」「散歩やジョギングを続け、階段を使うよう心掛ける」「ポジティブ思考を高め、幸福度を上げるために人と話し、夢を持ってほしい」など行動変容を促しました。
また、須田院長は、冷蔵庫の普及や食生活の改善に伴い、近年では、血管が破れる脳出血が減り、血管がつまる脳梗塞の割合が増えていることを紹介しました。
その上で禁煙や減塩、運動など生活習慣の改善や、糖尿病や不整脈といった疾病を放置せず治療することが、脳卒中の予防につながると指摘。「脳出血、脳梗塞はともに血圧が高い人ほど発症率が高まる」とし、血圧を正しく測り、コントロールすることの大切さを訴えました。
大腸がん発見へ内視鏡
妙高市

妙高市の市勤労者研修センターでは、約40人が参加し、内視鏡検査による大腸がんの予防・治療やフレイル(虚弱)予防などについて学びました。
この日は、けいなん総合病院消化器内科の山川雅史医師、同病院リハビリテーション科の江口竜人技師長らが講師となりました。
山川医師は、近年、男女ともに大腸がんの罹患が増えていることに触れた上、「大腸がんの多くは無症状であり、かなり病変が大きくなってから、便秘や血便といった症状が現れる」と説明。「早期発見、早期治療のためには大腸カメラが有効」と訴えました。
ただ、大腸カメラは検査の際の痛みや不安感、下剤を飲むつらさなど、「胃カメラに比べ敷居が高いと思われている」とも指摘。「当院では、積極的に鎮痛・鎮静剤を使用し、下剤が苦手な方には、入院対応している」と述べ、専門医、専門スタッフによる手厚いサポートを紹介しました。
また、江口技師長はフレイル予防の3本柱として「身体活動(運動)」「栄養」「社会参加」を挙げ、「いつもより少し速く歩いたり、ながら運動をしたり、無理をしないで取り組んでほしい」と語りました。
運動の際の靴選びのポイントについては「つま先に10㍉程度の余裕があり、靴ひもなど甲の部分が調整できるものがよい」とアドバイス。参加者はフレイル予防に効果的なストレッチや筋力トレーニングにもチャレンジし、心地よい汗を流しました。
健康相談会で血管年齢チェック

血管年齢などを測定した健康相談会=2024年9月、加茂市
セミナー終了後、各会場では「健康相談会」が開かれました。参加者は、血管年齢測定やもの忘れ度チェックを通し、自分の健康状態を確認。管理薬剤師からアドバイスを受けていました。
参加者の声
〈小千谷市会場〉80代男性 不整脈で通院していますが、「年齢だから」と先生に言われると前に進めなくなります。自分はどう生きたいか、しっかり考え、先生に伝え、カテーテル治療などの治療方法を考えるきっかけにしたいです。
〈五泉市会場〉60代女性 とても参考になりました。超高齢社会の今、ひとりひとりが健康、体力の維持を心がけたいと再確認しました。糖尿病ではないですが、かかとの上げ下げ、親指の曲げ伸ばし、さっそく始めます。
〈加茂市会場〉80代女性 予防、生活習慣病のことなど今後の過ごし方を教えていただきうれしく思いました。脳卒中のことは、自分にとっても心配なので分かりやすくて大変良かったです。
〈妙高市会場〉70代女性 先生方が熱心にお話くださり感動しました。家に帰ったら、いただいた資料をよくみて実践しようと思いました。今回はセミナーに参加してとても有益でした。
2025年度 5医療圏で開催
2025年度は県内7医療圏のうち、5医療圏でNIC健康セミナーを開催します。会場は上越市、柏崎市、南魚沼市、胎内市、阿賀町の予定。再編が進む地域医療の展望やそれぞれの地域特有の疾病予防などについて専門家が解説します。また、健康相談会も引き続き実施する予定です。
■主催 NIC新潟日報販売店グループ ■健康相談会協力 株式会社ダイチク/アイン薬局 ■運営協力 株式会社メディレボ
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