心の不調が何日も続いたら医師に相談
「いつもと違う自分」に気付きを
春は環境の変化に適応できず、メンタルヘルスを崩しやすい時期。気分の落ち込みや不安感の高まり、不眠や食欲不振など心や体に起こる変化、イライラして人に当たるなどの行動の変化は誰にでも起こることです。ただ、その程度が大きく何日も続き、「いつもと違う」と思ったら早めに受診することをお薦めします。日本では生涯に一度以上精神疾患にかかる人の割合は18%といわれており、メンタルヘルスの不調は珍しいことではありません。
心身の不調を放置して長引かせると、病気の種類によっては治りにくくなることもあります。また、長期にわたって学校や職場に通えなくなることで、経験や成長の機会を失う二次的な問題を引き起こす可能性も高まります。それに、病気という認識がないと、自分自身を責めたり、周囲からさぼっていると誤解されたり、さらに追い込まれることもあるでしょう。
診察は詳しく聞く時間を取ることで、正しい見立てや方針、対処策を判断します。初診の30分程度の面接では、困り事や心配事をお話しいただきますので、事前にメモをして考えを整理しておくのもいいでしょう。もちろん医師とのやり取りの中で整理されていきますので必須ではありません。
ちなみに不調のとき、当事者は物事の一面しか捉えられていないことが多いものです。例えば上司からのパワハラが不調の原因という場合でも、本人は「至らない自分が悪い」と考え、問題の本質に気付けないことがあります。これは分かりやすいケースですが、より複雑な問題も診察を通して解きほぐし対処策を考えます。病気の種類によっては薬を使うことで治るものもありますし、環境調整が重要な場合もあります。
家族や友人が心の不調に苦しんでいるようでしたら、まずは声を掛けて話を聞くことが大切です。冒頭でお伝えしたように、普段と違う状態が続く場合は早めの受診をお薦めします。
古町心療クリニック 院長
村竹 辰之さん
★PROFILE★
新潟大学医学部卒。日本精神神経学会精神科専門医。2006年に古町心療クリニック開設。生活状況や背景を理解しながら正確な診断を心掛けて治療に当たっている。
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