県民の健康寿命を延ばすため、医療や介護の専門家から正しい知識を学ぶ「みんなの医療・介護 NIC健康セミナー」(新潟日報販売店グループ主催)が6月17日、佐渡市千種の金井コミュニティセンターで開かれました。佐渡総合病院の佐藤賢治院長、同病院内分泌代謝科の福武嶺一医師、まもる歯科の渡部守院長、佐渡市健康医療対策課の関東佳奈恵・主任栄養士が登壇。約60人が地域医療の課題や展望、糖尿病の基礎知識や歯の健康などについて、熱心に耳を傾けました。
佐藤院長は、急激に進む少子高齢化を受け、島内の病院の収益が下がり、医師や看護師などの確保が今後、困難となる現状を紹介。「医療や介護、福祉の目的は『地域住民の生活』にある。患者が重症化してから病院に来れば、その後の生活が難しくなる」と指摘しました。
その上で「医療機関が持続していくためには、各機関が機能を分担し連携、人材育成や情報共有を進める必要がある」と強調。「住民の理解がなければ、島内の医療・福祉は回らない」と協力を呼び掛けました。
また、福武医師は「糖尿病診療の現状と基礎知識」と題し講演。「膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌されない、または分泌されても効かなくなると糖が細胞に正常に取り込まれず、慢性的に血糖が高くなる」と糖尿病のメカニズムを解説しました。
糖尿病の合併症として「神経障害」「網膜症」「腎症」を挙げ、「神経障害では最初に両足のつま先に症状が現れる。触った感じが鈍い、熱く感じるなど症状はさまざま」と紹介しました。
一方、渡部院長は高齢となり、口腔(こうくう)機能が衰えると肉や野菜などが食べにくくなり、タンパク質やビタミンなどの栄養が減ると説明。「痩せすぎの人は亡くなる確率が高い。体重や筋肉を増やすためには、朝ご飯にゆで卵を加えるなど『ちょい足し』が効果的」と力を込めました。
また、「口の機能が衰えるオーラルフレイルを放置すると要介護のリスクが高まる」とし、「虫歯や歯周病は予防が可能であり、家族でメンテナンスをしてほしい」と訴えました。
最後は佐渡市から、ラジオ体操や介護保険ボランティアなどに参加したり、検診を受けたりするとポイントがたまり商品がもらえる「健幸ぽいんと」が紹介されました。
関東・主任栄養士は「健康でいることは、自分だけでなく、家族や仲間、地域のためでもある。健康づくりの大きな輪を広げていきたい」と参加を促しました。
次回のNIC健康セミナーは7月8日、十日町市医療福祉総合センターで開催する予定です。お近くの方は、ぜひご参加ください。申込みはNIC十日町西部、025(752)4591、ファクスは025(752)3916。
Comments