ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。
秋でも油断できない花粉症。
友達が最近、鼻をかみながら「花粉症がつらい」と言っています。花粉症って秋にもあるの? 対処法は? のむら耳鼻咽喉科(新潟市西区)の野村智幸院長に詳しく聞きました。(明日野歩)
のむら・ともゆき 1997年新潟大学医学部卒。新潟市民病院、新潟大学医歯学総合病院、村上総合病院などに勤務後、新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科講師などを歴任。木戸病院勤務後、2016年にのむら耳鼻咽喉科開業。医学博士。
花粉症って秋にもなるものですか。
花粉症はスギやヒノキなどの植物の花粉が原因で、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどのアレルギー症状を起こす病気です。花粉の飛散時期のみ発症するため、季節性アレルギー性鼻炎ともいいます。
一方、ダニやハウスダスト、ペットの毛やカビなどが原因の場合、アレルゲン(原因物質)が一年中あるので、通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。
日本はスギ花粉症が多いため、春に生ずるものと思いがちですが、秋に飛散する花粉が原因の「秋の花粉症」もあります。
アレルギー性鼻炎の患者数は過去20年間のデータを見ても、全年代で増えており、低年齢化も見られます。
花粉症の原因は何ですか。
ブタクサやヨモギなどのキク科、カナムグラなどのアサ科、初夏から秋まで飛散するカモガヤなどのイネ科の花粉を吸入することで生じます。特に、イネ科植物による花粉症は、スギ、ヒノキに次いで多く、スギ花粉症になっていないのにイネ科の花粉症にだけなっている子どももいます。秋の花粉はスギに比べて花粉の大きさが小さく、体の奥の方に侵入するため、喉のかゆみや咳などが出やすいともいわれます。
また、わずかですが、新潟では秋にもスギ花粉の飛散が認められているので、スギ花粉症で敏感な人は症状が出ることがあります。
普段の生活の中で、どのように対処すればいいのでしょうか。
大切なのはアレルゲンの除去と回避です。原因植物を刈り取っておく。それが難しければ、原因植物が生えている場所に近づかない。外出時はマスクや眼鏡を着用。花粉が付着しやすい毛織物などを避け、ツルツルの物を着ましょう。帰宅したら、衣服や髪の毛に付着した花粉を払ってから家に入ります。庭に面した窓は花粉が付着している可能性があるのでこまめに掃除しましょう。
どんな症状があったら受診した方がいいでしょうか。目安はありますか。
毎年秋になると症状が出る人、すでに秋の花粉症と診断されている人は、花粉が飛ぶ少し前に受診し、早めに薬を飲み始めてください。
花粉症と診断されたことがない人は、熱や喉の痛みなどの風邪症状がないのに、水っぽい鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどが数日間続くようならば、秋の花粉症が疑われます。透明でサラサラした鼻水がとめどなく出る、目がかゆいなどの症状は、アレルギーの特徴です。アレルギー疾患の治療を行っている耳鼻咽喉科や内科、小児科を受診してください。問診、鼻鏡などによる鼻の中の観察、鼻水の中の好酸球を調べる鼻汁検査、アレルゲンに対する抗体の量を調べる血液検査などを行い、総合的に診断します。
治療法はどんなものがあるのでしょうか。
薬物療法、手術療法、アレルゲン免疫療法があり、内服薬と点鼻薬を中心とする薬物療法が一般的です。内服薬は抗ヒスタミン薬が基本。重症度に応じてロイコトリエン受容体拮抗薬や鼻噴霧用ステロイド薬なども用います。
手術療法では、鼻粘膜にレーザーを当てて収縮させ、鼻詰まりを取るレーザー治療などがあります。
アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法で、皮下に注射する皮下免疫療法と、舌下に投与する舌下免疫療法があります。最近は、舌下免疫療法が主流ですが、対象疾患は、スギ花粉症とダニ通年性アレルギー性鼻炎のみとなっています。
花粉症の発症を予防する方法は、まだ確立されておらず、手術でも完全に治らないし、薬物療法は対症療法でしかありません。ただ、アレルギー性鼻炎や花粉症を放っておくと、パフォーマンスが落ちるというデータがあります。疑わしければ、受診して治療を受けましょう。
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