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明日野家が聞く・健活インタビュー⑩ 「イヤホン難聴」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


大音量が招く将来の聴力低下


明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

イヤホンで音楽を聴いていたら「耳の聞こえが悪くならないように気をつけた方がいいよ」と親に言われました。高校生の私でもリスクがあるの? 新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の泉修司・病院准教授に聞きました。(明日野歩)






 

明日野家が聞く| 大平徹郎氏










いずみ・しゅうじ 1999年、新潟大医学部卒。機能的MRIを用いた中枢聴覚機能の研究で医学博士の学位を取得。専門領域は人工内耳、小児難聴、聴覚医学。1996年3月、新潟大学医学部卒。立川綜合病院、県立がんセンター新潟病院、済生会新潟第二病院などの勤務を経て2003年から新潟臨港病院。日本泌尿器科学会専門医・指導医。




イヤホンやヘッドホンで音楽を聴いていて、聞こえが悪くなることなんてあるんですか。

 

 音が耳に入ってから脳に伝わるまでのどこかで障害が起こり、音が聞こえにくい、言葉が聞き取りづらい、全く聞こえないといった症状が出ることを「難聴」といいます。工場や工事現場で長年働いていて難聴になる人がいることは知られていますが、イヤホンやヘッドホンで大きな音を長く聴き続けると、ダメージが蓄積され、同じような難聴(イヤホン難聴)になる危険性があります。

 難聴は大きく分けると、中耳炎や鼓膜の病気でうまく音が伝わらない「伝音難聴」と、耳の奥の内耳にある感覚細胞が壊れて音を感じ取れなくなる「感音難聴」があります。イヤホン難聴は感音難聴で、年を取って耳が遠くなる難聴(加齢性難聴)と同じ。聞き取りにくくなるのが特徴です。

 WHO(世界保健機関)では、世界中の12~35歳の約半数にあたる約11億人がイヤホン難聴になってもおかしくない聴き方をしていると警鐘を鳴らしています。イヤホン難聴は大人もなりますが、小中高生は耳の中の機能の発達が不十分なため、より危ないといわれています。

どんな症状が出たら要注意ですか。


 イヤホン難聴は症状がないまま進行します。ある程度ダメージが蓄積すると、耳鳴りなどの症状が出ることがありますが、その段階で聴力検査をしても異常は出ません。さらに進行すると「聞こえにくいかも」と感じ、聴力検査でも異常が出始めます。耳鳴りや耳が詰まった感じがしたら、耳鼻科を受診しましょう。

 急に片耳が聞こえなくなる突発性難聴や中耳炎、耳掃除で耳垢を押し込んでしまっているなど、原因が他にある場合もあります。


どのように診断するのですか。


 聴力検査の結果を見て難聴の診断をします。進行すると体温計の「ピピピ」という音に近い4000ヘルツの音から順に聞こえにくくなってきます。聞こえていれば「大丈夫」となりますが、この「大丈夫」は「イヤホン難聴はあるかもしれないけど、聴力に影響があるところまではきていない」という意味ですので、間違わないようにしてください。



治りますか?予防法はありますか?


 イヤホン難聴をはじめとする感音難聴になった場合、治りません。死んだ細胞は戻らず、補聴器を付けるなどの対策はできても現段階で難聴を治す方法はありません。

 予防が全て。とにかく耳を休め、大きな音を聴かないことが重要です。イヤホンをしていても、前の人の声が聞き取れるくらいのボリュームにしましょう。スマホも大体6割くらいの音量にしておけば、多少長く聴いても害はありません。ノイズキャンセリング機能があるイヤホンは、周囲の騒音を抑えるので、音量を上げずに済むためお勧めです。

イヤホンで音楽を聴いて楽しむことは、悪くありません。大きな音を長時間聴き続けることが悪いのです。1時間聴いたら10分休みましょう。きちんとした使い方をしないと、将来、音楽を楽しむことができなくなるかもしれません。

イヤホン難聴は、若いうちは症状が出ないことが普通です。でも、ダメージが蓄積され、ある程度のところまでくると「聞こえにくい」と気付きます。その時に後悔しても遅いのです。耳は取り替えが利かない消耗品。大事にしてください。




 








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