県民の健康増進を応援する「にいがた健活フェス」が3月24日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップで開かれました。女性の健康と子どもの健康をテーマにした「にいがた健活講座」やアルビレックスチアリーダーズ&スクール生のパフォーマンスなどが行われ、会場は華やかな雰囲気に包まれました。
「にいがた健活講座」では、新潟市民病院産婦人科の森川香子医師が更年期の過ごし方と理解促進について講演。新潟医療福祉大学リハビリテーション学部の江玉睦明教授は実技を交えながら、けがをしにくい子どもの体づくりを解説しました。
にいがた健活講座①「更年期の過ごし方 みんなで理解し乗り越える」
新潟市民病院産婦人科
森川香子医師
もりかわ・きょうこ 産婦人科医。2012年より新潟市民病院に勤務、23年より新潟リハビリテーション病院にて女性アスリート外来を担当する。日本専門医機構認定産婦人科専門医・指導医、女性ヘルスケア専門医・指導医、女性のヘルスケアアドバイザー。
自己判断は禁物、定期健診を
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあり、ともに月経に関わっています。エストロゲンは妊娠、出産以外にも、抗酸化作用(抗動脈硬化)や骨量維持、生殖機能など全身に作用し、女性の体を守る役割があります。
更年期とは、1年間月経がない閉経前後の5年間、計10年の期間です。個人差はありますが、日本人女性の閉経の平均年齢は50歳くらいなので、大体45~55歳を指します。閉経に向かい女性ホルモンが減少すると、生理周期が長くなったり、経血の量が減ったりするなど月経異常の症状が出ることが多いです。40歳以上で今までと月経の様子が変わってきたと感じたら、更年期の入り口に入った合図です。
更年期の症状は、のぼせやほてり、動悸(どうき)、不眠、不安、目まい、排尿障害など多種多様です。これらの症状が更年期に現れ、他に病気がない場合を「更年期症状」、症状が日常生活に支障を来す病態を「更年期障害」と呼びます。これらの症状は他の病気の可能性もあるので、更年期と自己判断するのは危険。簡易更年期指数(SMI)でチェックし、受診の目安にしてください。
食事・運動療法でセルフケア
治療には、食事療法や運動療法といったセルフケアと、カウンセリングや薬物療法など医療機関ができることに分かれます。
セルフケアでは、女性ホルモンに似た作用があるエクオールを大豆食品やサプリメントで摂取するほか、ヨガがお勧めです。大豆食品は、腸内細菌が代謝する際、エストロゲンに似た物質のエクオールを作ります。そこから女性ホルモンのような作用が出るため、症状を軽減する可能性があります。
また、ヨガは医学的にも更年期症状を和らげることが分かっています。
一方、医療機関では、不足したエストロゲンを補うホルモン補充療法などがあります。エストロゲンを補うホルモン補充療法は、皮膚から吸収し体への負担が軽い経皮剤が主流です。ただし、乳がん経験者や重度の糖尿病患者、閉経から時間が経過してしまった人には使えません。
理解が大切、普通に接して
よく更年期の人にどう対応したらよいのか分からないという話を聞きますが、普通の接し方で構いません。風邪で具合の悪い人に「大丈夫」と聞くことと同じです。更年期について知り、理解することが大切です。
特に更年期について男性が知り、理解して行動が変われば、誰もが働きやすい、思いやりのある社会になります。職場の業績アップや家庭円満などにつながると思います。
更年期を過ぎると、体はいろいろと変化します。エストロゲンの減少により、骨量が減るし、太りやすくなります。心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。最近では、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)として、性器がヒリヒリしたり、尿トラブルが起こったりしたりするなどの症状も注目されています。
一つ前のステージの不調が、次のステージに影響するのが、女性の一生です。今、自分がいる世代で、自分の体をきちんとメンテナンスし、コントロールしたかで健康寿命が変わります。定期的に健康診断を受けましょう。
実は、男性も男性ホルモンが減ることで更年期(LOH症候群)になることがあります。男性ホルモンは年齢に関係なく減り、気力などがなくなります。チェックリストで該当すれば、泌尿器科か、かかりつけ医を受診してください。
にいがた健活講座②「親子で学ぶけがをしない体づくり」
新潟医療福祉大学リハビリテーション学部
江玉睦明教授
えだま・むつあき 新潟医療福祉大学博士課程卒。新潟こばり病院などで理学療法士として勤務。2012年より新潟医療福祉大学で教鞭をとり19年に同大学教授に。18年にはFCバルセロナ主催の「BARÇA SPORTS MEDICINE CONFERENCE」でアジア人唯一の講演者として招かれる。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、スポーツ専門理学療法士。
運動機能をチェック
新潟医療福祉大学リハビリテーション学部の江玉睦明教授が「親子で学ぶけがをしない体づくり」について話しました。江玉教授は「年齢に応じた発育・発達の特徴の理解が重要」と発達・発育曲線を示しながら説明。運動機能チェックでは、親子で四股を踏んだり、片足で立ったりしました。
【みなと広場・日報ホール】チアダンス、ヨガ多彩に
アルビレックスチアリーダーズの講師によるヨガ教室や、スクール生が加わったパフォーマンスもありました。みなと広場で行われたダンス体験教室には、子どもから大人まで参加し、アルビチアと一緒に体を動かし、心地よい汗を流しました。
Comments